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「着物を作る産地と伝統技術」

更新日:2023年12月8日


袴姿


(*202311/17に更新されました)


「あなたは日本伝統の衣装【kimono】について語ることができますか?」


はじめまして、

私は、和文化継承プロデューサーの倭文(しずあや)です。


伊豆の温泉旅館の長女として生まれ、 3歳より「 お茶」「 踊り」「 生け花」 「そろばん」などの日本文化の習い事をしながら、 日本のおもてなしの環境で育ちました。


現在「 和文化 教室の先生」「 和文化 アーティスト」「伝統工芸 職人」 の方々と共に「和伝会」コミュニティを運営し、日本文化を世界に広げる活動をしております。


海外での着物人気は私たち日本人の想像を超えてきています。

多くの外国人旅行客はレンタル着物を楽しみ、リサイクル着物をお土産に購入しています。


しかし、日本の現状はどうでしょう。


着物への憧れはあるけれど「 着物を着る」までに踏み出すことができないのです。


”世界から注目されている着物”を「難しそうだから」「知らないから」と距離を置き続けていてはもったいないです。


大人の日本人や世界を羽ばたくビジネスパーソンにとって「着物の知識を知る」ことは、豊かな感性と知恵が身に付き、外国人とのコミュニケーションを豊かにしてくれます。


「着物を着る」ことができると、上品かつ教養がある人に見られ、そしてブランディングが立って注目されます。


「①知ること」「②着ること」「③着せること」の順番でできることを目標に取り組んでいきましょう!


また、サスティナブルな社会を目指す現代において「物を大切にして使い切るリサイクル・エコロジーな知恵」も一緒に身につけることもできます!


今回は、日常や仕事に活かすために「教養としての着物」をまとめてみました。


目次

序章

1:結城紬:着物

2:大島紬:着物

3:越後上布(麻):着物

4:西陣織:帯

5:科布織:帯

まとめ


序章

日本には全国各地に、伝統工芸の技術が残っています。


1人の職人が何十年もかけて習得した 技術。


何百年も時を超えて残っている技術。


一つのものを作り上げるために 素材と向き合い、 数ヶ月、 いや 数年かけて仕上げる技術。


世界に類を見ない美しい品を作り上げる 伝統技術がたくさんあります。


袴姿男性

1:結城紬:着物

日本 の重要無形文化財に指定され、 さらに 世界のユネスコの無形文化遺産にも登録されている結城紬 。


「結城紬の技術は 3つの条件」を満たさなければなりません。


① 真綿手紬糸(まわたてつむぎいと)で

②手びねりで、絣くくりがされていて

③地機(じばた)でおられたもの


この3つの制作工程が、 織物の原型であるからです。


【産地】

結城紬は、茨城県結城市と栃木県小山市をまたがる 一帯で作られている着物です。


2000年前の歴史があり、その作り方はそのまま現代に残り、 日常着として今も流通しています。


【豆知識】

ゆうきつむぎは鎌倉幕府の源頼朝をはじめ、 武士の着物として人気がありました。 江戸時代には庶民にも広がり、 吉原に遊びに行く男性は 仕立てあがったばかりの 結城紬を着ていくのが一番のおしゃれだったそうです。


明治以降は、男性の正装が洋服になった頃から、女性ものの結城紬が増えていきました。




【結城紬の特徴】

軽くて、あたたかく 、手触りの良い、 丈夫な布。布に折る前の作りに特徴がある。


絹の真綿手紬糸(まわたてつむぎいと)

絹糸は蚕の繭をほどいてできる。


真綿は、 繭をお湯に入れながら 広げて、何個分か重ねたものです。

現代の私たちは「 綿」と言うと コットンの木綿を想像しますが、 昔は「 綿」とは 眉を広げた絹の綿のことだったのです。


結城紬の真綿手紬糸は、 この真綿から まっすぐ引き出しながら 糸にしたものです。



②手びねりで、絣くくりがされていて

手びねりとは、水をつけただけではダメで、乾くとすぐに糸がバラバラに綿に戻ってしまうので 糸とりの職人が 自分の唾液を指につけて、糊の代わりにし、ねじらず まっすぐに糸にしていきます。 織り上がった後に水洗いをしますのでご安心ください。


撚りをかけずに 手で取った糸は、その中に空気を含むので、 結城紬には独特の温かさ と軽さが生まれます。ねじって よりをかけた 生糸を使った他の 反物と重さを比べると、 若干 軽くなります。


また、 生糸の着物は何度もよりをかけた糸を使うので強度を出しますが、 結城紬は布になった時に糸が綿に戻っていき、 繊維が複雑に絡み合うことで丈夫な布になるのだ そうです。


絣くくりとは、 手つむぎで糸ができると、おる前に糸を先に染めます。ここで柄を出すために行う仕事が 絣くくりです。


絣とは、布に柄を出す方法の一つ。

糸の状態で地の色と模様の部分を染め分けて、おりながら 柄合わせをして、模様を織り出します。



③地機(じばた)

地機は、人間が布をおり始めた時の 原始的な織り機の原型です。


結城紬ではなぜ 地機を使うのかというと、糸と深く関係があります。


真綿手紬糸は、よりをかけず 細く 一定で引き出された 糸 なので、 ピンと張り続けると糸が疲れ、切れやすく なります。 だから この糸を使う結城紬にはおっていない時間は 緩ませることができて、 糸への負担が少ない地機でおるのです



国の文化 重要無形文化財に指定された着物関係のものは複数ありますが、 ユネスコの無形文化遺産登録をされている着物は、結城紬と越後上布の2つのみです。


これらは 人間が布を作り始めた時のままであるため、 人類の宝物として ユネスコ無形文化遺産に登録されているのです。



2:大島紬:着物

【産地】

大島紬は、奄美大島で1000年以上の歴史を持ち、 結城紬と同じような作り方をしていました。

つまり手 で繭から紡いだ真綿手紬糸を使い、模様を出したい部分は木綿糸で手でくくり、 糸を染めてから 布に織り上げていました。


それが明治時代に入り、100年ちょっとで世界一 綿密な織物にまで発展したのが、「 大島紬」です。



【特徴①】

奄美大島の職人たちが「 もっと細かな柄を織り出したい」と考え、 柄を手でくくっていた工程を、手作業ではなく専用の機(はた)で行う方法を発明したのです。


その絣(かすり)をくくる ため の機を、「締め機(しめばた)」 と呼びます。


締め機が、生まれたことで、大島紬の柄の細かさは繊細 を極めていきました。 2021年 沖縄北部や 西表島とともに、世界自然遺産に登録されています。



【特徴②】

泥染めの大島紬。


屋外の泥田に、絹糸をつけて染めます。

テーチ木 を煮出した染料で20回ほど染めて 、泥田 で1回 染める、 これを4〜5セット 繰り返します。


テーチ木 のタンニンと、泥田の鉄分が反応し、 大島紬 ならではの独特の黒色に染まっていきます。

日本国内でも泥染めができるのは 奄美大島 だけ。


泥染めした絹糸は鉄分により通常の絹糸 よりも しっとりふんわりした手触りになります。

また、 泥田で染められることで虫がつきにくい性質も持ちます。



【大島紬を代表する 立つ 龍郷 柄(たつごうがら)文様】

ソテツ、 ハブ、 ハイビスカスと奄美大島の自然を配置した模様で、 絣でだけで表現されたとは思えない 立体感があります。


【西郷隆盛の西郷柄 文様】

江戸時代末期、 西郷隆盛は奄美大島に 流され、 3年ほど 暮らしていました。 彼の名前をつけた西郷 柄は、男性の大島紬の柄として人気です。


他にも大胆な花柄や風景を描いたものなど、まるで水彩画のようなデザインもあります。

これが布に 細筆で描いたものではなく、 柄に合わせて糸を先に染めて 折り上げたものだ とは、技術の高さに驚くばかり。



【工程】

全て手作業で作られる 大島紬には30もの工程があり、 それぞれに 熟練の職人がいる 完全分業体制です。

1枚の大島紬ができるまでに、数十人の人が関わり、 1年半以上かけて1枚の着物が出来上がるのです。



【SDGs な 大島紬】

大島つむぎには 見た目の芸術的な美しさだけでなく、 機能面でもいくつも良さがあります。


・ 水で洗う 手入れをすればするほど どんどん 柔らかく、 着心地が増す。

・ 布の表裏どちらも同じ柄: 片面にシミをつけてしまったら、裏に返して 仕立て直して  着続けることができる。

・ 親子3代 100年にわたることができる

・シンプルな男性ものの大島紬を仕立て直して女性が着ることもできる


・雨も通りにくく、 洗っても ちぢみ にくい 丈夫な 着物。

・ つるんと なめらか なので 花粉や ホコリなども 落ちやすい。


現在、 2020年の奄美大島での生産量は、戦後の最盛期の 1/1000と、とてもわずかなものになりつつあります。




3:越後上布(麻):着物

【産地】

越後上布の産地は 現在の新潟県南魚沼市。

歴史は長く、飛鳥時代からつくられていたいたと言われます。

平安の頃から江戸時代に木綿が普及するまで、日本国内で、庶民が身に付けていた着物は、大麻または苧麻(ちょま:ラミー)でした。「布」と言えば麻の織物を指す。



【豆知識】

麻という言葉は、一つの植物を指すのでなく、色々な植物(リネン、ジュート、サイザル等)の総称としてつかわれます。

日本では、縄文時代から麻を使ってきたと言う長い歴史があります。


しめ縄や御神酒を作る袋などに使われ神事と関わりが深い麻は、大麻です。


戦後GHQの政策によって、薬物規制を理由に神事用であってもてに入りにくく、それは現在でも続いています。



【越後上布】

麻は通気性が抜群で、夏に涼しく素材。流通する多くの麻の着物は苧麻です。

越後上布は、国産の苧麻を使い、雪深い気候風土を生かし、すべて手仕事で、作り上げる最高級の麻の着物です。


「越後上布」の手仕事の技術が、国の重要文化財、ユネスコの世界無形文化遺産として登録されています。



【工程】

1-「糸うみ」:2メートル程の苧麻の草を刈り取り、茎の内側を爪で細く裂き、結びつけながら、細く繊細な麻糸を作る。


2-「地織(じばた)」:結城紬と同じ織物機

上布の地機は、結城紬の地機よりも床に近く、まさに地べたに座るような姿勢で織ります。

なぜなら麻糸は、絹糸よりもずっと乾燥に弱く、乾くとすぐに切れてしまいます。そのため湿気の溜まりやすい、低い位置で作業をする。


雪深い越後では、雪の湿度が糸の乾燥を防ぐ役割があるのですね。


3-切れやすい麻糸を結び直しながら、一本一本丁寧に織り込まれた越後上布は、「雪晒し」という工程があります。


雪にさらすことによって、麻布の白色が際立ち、さらに美しい布にさせる。

雪解け時、オゾンまたは、水素イオンの発生で、漂白されるのでは?と仮説がありますが、昔の職人さんは経験的に知っていたのでしょう。


新品だけでなく、何度も使用した上布も雪晒しをすることで美しく甦らせることができるそうです。


自然の中で得た、知恵のふかさを感じますね。


年間30反も作れない希少なもの。

無形文化財に指定された技術を守ろうと努力し続けている職人さんたちがいるのです。




4:西陣織:帯

【産地】

帯の産地と言えば、京都の西陣(京都の北西部あたり)


平安時代からこの地域では、貴族の織物を作り、その織の技術を1200年にわたり磨き続けてきました。


応仁の乱、西軍の陣地があったところに再び織工たちが集まり、西陣とよばれるようになり、現在でも帯や着物の一大産地です。



【柄】

・正倉院の宝物を描いた「正倉院紋様」


・平安貴族が好んだ「有職紋様」


格式の高い柄が多く、フォーマル着物の袋帯の多くが、にしじんです。



【織り機】

昔から、「人力織機(しょっき)」

100年前に「動力織機」現在は、「自動織機」ですが、


西陣は明治以降、初めてフランスのジャガード織機(動力織機)を導入したことで、短い時間でたくさん織れるようになり、大きく発展します。



【西陣の技術と歴史を感じる話】

37年かかったビックプロジェクト!織物で作られた「源氏物語錦織絵巻」です。


平安時代貴族の世界を描いた紫式部の源氏物語を、平安末期12世紀に書かれた日本最古の絵巻物として、国宝に指定されている「源氏物語絵巻」‼


約1000年前の絵巻物ですから、色が褪せ、読むことは、難しい状態です。


そこで、「この先1000年読み続けられるように」と、西陣の帯メーカー社長山口伊太郎氏が、残りの人生をかけて、織り上げた国宝源氏物語錦織絵巻全4巻。


現存する源氏物語絵巻よりも少し幅が大きく着物の帯幅で作成され、その精密さは、ほぼ実際の絵巻そのままだそうです。


かな文字、登場人物の表情だけでなく、御簾の先の人がいる薄布の透け感までも織りで見事に表現されています。


素材にもこだわり、金箔には本物の金を使い、銀箔は、錆びて黒くならないようにプラチナを使っているそうです。


2セット合計全8巻があり、一セットは、山口氏の会社が所有、もう一セットは、ジャガード織機に感謝をこめて、フランスのギガ東洋美術館へ寄贈されています。


伝統工芸の素晴らしさに目を向けると、日本と世界とのつながりを再確認でしるのですね。



5:科布織:帯

日本各地で布を作り、身を守る衣服を作ってきました。


その素材は、、絹や麻だけではありません。

*藤の蔓からつくる藤布

*葛の茎からつくる葛布

*沖縄では、糸芭蕉の幹からつくる 芭蕉布

*北海道アイヌの人々は、鮭こ皮でコートをつくったり、オヒョウの木の皮からつくるアットゥシ織り布。など



【科布とは】

日本全国に生育し、街路樹でもよく植えられている科の木。


科の木から作った科布は、とても丈夫で、衣服以外でも、縄、笠、蓑(みの)、籠、漁労の網など、暮らしの道具としても使われていました。


歴史は古く、平安時代にはおられていたと言われています。


江戸時代頃までは、日本各地でつくられておりましたが、戦後、化学繊維のロープなど登場して、科布は一気に姿を消します。


現在、新潟と山形の県境の羽越地域のみだそうです。



【科布の工程】

大変な手間と時間をかけて作られる。

*科の木の幹の外側の皮を剥ぎ、柔らかい靱皮を取り出す(梅雨の時期)

*取り出した靱皮を一旦乾かし、灰を入れたお湯で10時間以上に続け柔らかくする

*その後川で洗い、汚れを落とす

*干して、煮て、乾かす

*やっとやわらかくなった皮を手作業で細くさいて、繋げて、糸をつくる

*そして、織り機で布に織り上げる



【科布の帯の特徴】

糸を染めたり、柄をいれたりしないで、木の色そのままの美しさを生かします。


一見、褐色の無地に見えますが、自然な色ムラが独特の味を出しています。

また、新築木造の家のような木の香りがします。


科布の帯は、丈夫で、水に濡れても大丈夫。

木の家具がだんだんと色変わるように、科布の帯も何十年も締め続け、手で触れる続けることによって色も、張りも、手触りも変化していきます。



まさに、自然の植物のエネルギーをそのまま身にまとえる自然布。着物は自然布服として使い続けることができる数少ない方法の一つなのですね。





まとめ


日本の素晴らしい伝統工芸の着物を後世に残すために、今、私たちは何ができるのか?


作り手の産地や、売り手の呉服屋だけでなく、私達も一緒に考えていきませんか?


日本各地にそれぞれ、土地の風土にあった美しい工芸品の一つ、人の手で作られた着物。


一枚の着物が、どうやって、どれだけの手間がかかっているのか?


そうした背景を知ること、人間がいきるために必要な「衣」人が身にまとった時に、最も美しく機能的に作られた着物。


日本の伝統工芸品の価値を世に伝える運動を起こした柳氏【手仕事と日本】で、このように問いかけております。


「生活の中に深く美を交えることこそ大切ではないでしょうか。


更に生活に交えることによって、かえって美が深まる場合がないでしょうか?


日々の生活こそ全てのものの中心なのであります。


またそこに文化の根源が潜みます。(258貢)」。


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